ぎらり、と太陽が輝いていた。本当に、どうしてよりにもよってこんな日に天気が良いんだろう。私の心とは裏腹に、さんさんと輝く太陽を睨みつけた。もうなんか、死んでしまいたいな、と思うくらい私は落ち込んでいた。数年間付き合っていた彼氏に振られ、仕事もクビになり。本当についてない…どころの話じゃない。今の私には、何も残されていないのだ。



「…とりあえず、家に帰ろう…。」



お昼時、私は珍しく空いていた電車に乗った。ふぅ、と椅子に腰掛ける。と、向かい側には可愛らしい女の子と、いかにも無口そうな、こんな平和な天気の日には似合わないような男の人が座っていた。…まぁ、別に何かがおかしい訳じゃないけれど、なんとなく気になって、私はその二人の様子を観察する事にした。




     *  *  *


「わっ、見てください秋山さん。」

「何?」

「海が見えますよ、ここから。」

「…あぁ、そう。良かったな。」



何なんだあの人。折角彼女(かどうかはわからないけど、なんとなくカップルな気がする。)が話しかけてるのに。あんなそっけない返事して。(さっきから殆ど話してないし。)
でも女の子は、「はい、秋山さんも見れば良いのに…。」とは言ったものの、大して気にしていないようだった。



「窓、開けられたら風気持ち良いでしょうね。」

「そうだな。」

「……。」



あぁあ、流石の彼女も黙っちゃったよ。まぁ、当然だ。あんなに頑張って話しかけてたのに、全然返事をしないんだから。…会話しても面白いはずが無い。



「…どうした?」

「秋山さん、」

「?」

「秋山さんは、私と居て…その、楽しいですか?」



秋山とかいう男の人が、一瞬固まった。あの女の子、可哀相。ここまでそっけなかったら、やっぱり不安になるよね…。



「…楽しくなかったら、」

「え?」

「楽しくなかったら、一緒に出かけようなんて思わない。」

「…だけど、いつも楽しそうじゃ、ないし…。」

「俺は話すのが得意じゃないだけだ。一緒に居るのが嫌なら、俺は君を心配して助ようだなんて思わない。」

「…そう、ですか?」

「あぁ。…君は?」

「はい?」

「君は俺といて…何か不服か?」

「いえっ、そんな訳ないじゃないですかっ!」

「…俺も同じだ。」



少し照れながら二人は笑いあっていた。なんか、あの女の子、すごいなぁ…。どんなにそっけなくされたって、どんな事されたって…あの男の人のこと、大好きなんだ。私には、そんな素直さがない。だから…あの女の子のことが少し、羨ましくなった。



「おい、着いたぞ。」

「えっ、もうですか…?」

「あぁ。行くぞ。」

「え、あ…はいっ。」



男の人は少しだるそうに、女の子は元気良く、椅子から立ち上がった。私は特に何をするでもなく、ぼーっと2人を見ていた。
2人が電車を降りる瞬間、私は、男の人と、目があった気がした。






奇妙な2人組み
                  でもなんだか、羨ましいな、あの人達。