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「よーく覚えとけよ。騙される方が悪いんだ。」 フクナガさんのその言葉が、耳から離れなかった。私は昔から馬鹿が付くほど正直で、…それだけが、とりえだった。だから、こんな事を言われて…すごく、ショックを受けたんだと思う。 二回戦は何とか勝った。秋山さんの、おかげで。私は本当に、秋山さんに頼りすぎてると思う。でもそれでも、自分ひとりではどうする事も出来ない。…私の、この性格は、ライアーゲーム…嘘つきのゲームに向いてないと思う。 帰りの車の中で、秋山さんは自分ひとりが三回戦に進むと言っていた。秋山さんは、どうしてこんなに強いんだろう…。私なんかとは大違いだ。いつか、私も秋山さんみたいに強い人になれればいいな、なんて、そんな事を考えた。 「おい、早くしろよ。」 「えっ、あ…っ!!」 気付くと、さっきまで進んでいたはずの車は止まっていた。既に開けられたドアの向こうには秋山さんが立っていた。(もう着いたんだ。)(…結構早いな。) 「…ったく、何してんだよ。」 「あ…ありがとう、ございます…。」 呆れたように出された秋山さんの手をしっかりと握って車から降りる。すると、ドアは閉まり、車はどこかに走っていってしまった。 「…君、ここから家まで近いよな?」 「え、あ…はい。」 「一人で大丈夫か?」 「だ、いじょうぶ…です、」 ぎこちなく返事をした私を見て、秋山さんは深くため息をついた。(あ…またやっちゃった。) 秋山さんの家まで送るよ、という声が、やけに優しく聞こえて思わず泣きそうになってしまった。どうして秋山さんは、こんなに優しいんだろう。(詐欺師なのに、) …こんな時は、すごく早く時間が進むと思う。いつもは遠くに感じる自分の家が、もう目の前にあった。 「じゃあな。」 「あっ、秋山さん…っ、」 「?」 つい、呼び止めてしまった。服の袖をくい、と引っ張る私に、秋山さんは怪訝そうな顔をした。特に呼び止めるような理由も無い私は、どうしようか、と少し考え込んでしまう。…いくら正直者の私でも、「これが最後の別れになっちゃうかもしれないと思うと、悲しくて」なんて、そんなストレートには言えなくて。 「…どうした?」 秋山さんの、優しく、私を気遣うような声が聞こえると、ますます私は焦ってしまって。 「……電話、」 「え?」 「…何かあったら、電話すればいい。」 「はいっ…、あ、あの…、」 「何だ?」 「秋山さんは、三回戦に…進むんですよね?」 「…あぁ。」 「…やっぱり、嘘つきも、才能…なんですか…?」 「俺に聞くなよ…」 そう言いながらも、秋山さんは「嘘つきに才能も何も無い。」と返事をしてくれた。 「もし嘘つきも才能だとしたら、君はこの手の才能は無いな。」 「…そう、ですね…。」 その言葉を聞いて、フクナガさんのあの声が、蘇ってきた。はっきりと。『騙される方が悪いんだ。』…その通りなのかもしれない。正直でも、それだけじゃ世の中生きていけない。ライアーゲームにその事実を突きつけられているようで、すごく怖かった。 「…どうした?」 いきなり俯いた私を心配したように秋山さんは言った。聞いてみよう、秋山さんに。たとえ私の求めている答えが返ってこなくても良い。ただ、貴方に考えてもらいたかった。 |