俺は彼女が憎かった。
「秋山さん…あのっ、どうしたんですか?」
何も疑おうとしない、その純粋な心が。
周囲を綺麗にしてしまうような、その存在自体が。
全てが、憎かった。
「…秋山さん?あの、気分が良くないんだったら、横になった方が…、」
「別に良い。」
そっけなく返すと、彼女は俺が怒っているんだと勘違いしたらしい。
心配そうに、私何かしましたか、なんて聞いてくる。
そんな姿さえも、どうしようもなく憎らしい。
「…別に。」
「やっぱり、変ですよ、秋山さん…、」
「……君には俺の普通もわからないだろう。」
「そんな言い方っ…!」
彼女にしては珍しく、俺に反論してくる。
あぁ、君は俺の言うとおりにしていればいいのに。
あぁ、君は俺だけのいう事を聞けばいいのに。
「どうして秋山さんはっ、いつもそうやって一人で溜め込むんですか…っ?」
言葉を無くして、ただ彼女を見つめた。
あぁ、やっぱり憎らしい。
君は俺の心配なんてしなくていいのに。
君は自分の事だけでいっぱいいっぱいのはずなのに。
君はどうしてそんなにも、
「秋山さんには…もう、辛い思いをして欲しくないんです…、」
あぁ、君は本当に。
どうして俺の言う通りにしないんだ?
俺は君を幸せにしようとしているのに。
俺の願いは、君の幸せなのに。
そんな事にさえも気付かずに、君は
自 分 が 犠 牲 に な る 事 を 考 え る 。
あぁ、本当に憎らしい。
「……君は、どうして俺の言う通りにしないんだよ。」
「え?」
「敗者復活戦に進まなければ…敗者復活戦で棄権すればよかったのに。」
「秋山さんを…助けたくて……、」
ぽつりぽつりと話す君。
あぁ、だから駄目なんだ。
そんな姿を見ると、君を壊してしまいたくなる。
君が俺だけのために存在していればいいのに、なんて考えてしまう。
だから君から離れたかった。
それなのに。
「秋山さんっ!どうして連絡くれなかったんですか?」
「……また君か。」
どうして君はこんなにも俺を苦しめる?
君を俺だけの物にしたい、そんな欲望だけが募っていって、
最後は君を壊してしまう、それを想像して、すごく怖くなった。
「……あっ、秋山さん…!?」
「黙って。」
そっとキスをすると、彼女は顔を真っ赤にした。
「秋山さん…、あの…、」
「 好 き だ 、 」
そう、一度だけ呟いて、
彼女がこくん、と頷いて、
私も、です…なんて返してきたら、俺は…、
本当にこの子を壊してしまうかもしれない、と直感した。
俺は彼女が憎かった。
全てが、憎かった。
あぁ、君は俺の言うとおりにしていればいいのに。
あぁ、君は俺だけのいう事を聞けばいいのに。
どうして君はこんなにも俺を苦しめる?
俺は彼女が憎かった。
世界で一番大嫌いな君へ
でも、それでも、俺は君を愛してる。