「ごめん、」

「謝らないで下さいっ、」



何度も謝るエトウさんに、私は慌てて頭を上げてください、と声を出す。…本当に、話しかけてくれただけで、嬉しかったんです、嘘じゃないですよ、と何度も言うと、エトウさんは震えてかすれた声でありがとう、と呟くように言った。



「…あの、エトウさん、」

「?」

「本当に、私もなんてお礼を言ったら良いかわかりません…、」

「違うよ、俺が…」

「でも、エトウさんが教えてくれなかったら…私、勝てませんでしたから、」

「直ちゃん…、」



思い出すと、泣きそうになった。
エトウさんが話しかけてくれたのが、嬉しくて。でも結局秋山さんに頼らないと何も出来ないのが、悔しくて。自分から三回戦に進んだのにまた秋山さんに迷惑をかけたのが、申し訳なくて。
エトウさんの大きな手が、私の方に伸びてくる。ぽんぽん、と優しく頭を撫でられると、すごく安心した。



「エトウさん、私、」

「もうその辺で良いだろ。」



私の言葉を遮るように、秋山さんの声が聞こえた。その声は、いつものような優しいものではなく、少し不機嫌そうだった。



「…秋山さん、」

「過ぎた事をいつまでもうだうだ言う必要は無い。」

「でも、私嬉しかったんです、エトウさんが…、」

「エトウだって、見てみぬ振りをしたんだ。他の奴と一緒だろ。」

「そんな言い方ないじゃないですかっ!」

「だってそうだろう?」



秋山さんの少し棘のある言葉を聞いて、私は大声を出してしまった。すると、秋山さんは冷静に言い返した。…何故だか凄く悔しくて、俯いてしまう。



「おい、あんまり彼女を困らせるなよ。」

「随分と彼女には優しいんだな?」

「…そんなの今は関係ねぇだろ」

「関係あるな。最初は彼女を救えなかったくせに、どうして今になって味方する?」

「それは…、」

「大体、彼女が大切なら最初から」

「もうやめてください…!」



2人の言い争いはもうこれ以上聞きたくなかった。秋山さん、いつもはもっと優しいのに…今日はどうしたんだろう。やけにイライラしてるみたい。



「…、ごめん、」

「いや、あの、謝らないでくださいエトウさん、」

「……君も、エトウには優しいんだな。」

「もうっ、秋山さんはどうしてそういう言い方するんですかっ、」

「誰のせいだと思って、」

「え?」



秋山さんが何か言ったけど、私は聞き取れなかった。何ですか、と訊くと、秋山さんからは何でもない、と返ってくる。…なんか、そういわれると気になるな…。



「帰るぞ。」

「えっ、秋山さんっ!?」



秋山さんが私の腕を掴んで歩き始めるから、私は転びそうになりながら秋山さんについていく。後ろから直ちゃんっ、というエトウさんの声が聞こえたけど、どうしてだか秋山さんを優先している私がいた。…エトウさんも大好きだけど、それよりも、秋山さんの方が、



「君は、エトウが好きなのか?」

「へっ?」

「随分仲良くなっただろ、このゲームで。」

「好き、ですよ。エトウさんのこと。」

「…そうか。」







「でも、どうしてか解らないんですけど…、私、秋山さんを最優先しちゃうんです。」








「…は?」



私の言葉に秋山さんは珍しく驚いているようだった。



「変な冗談やめろよ。(…勘違いしそうになるだろ、)」

「冗談じゃないです。」



それから私は、自分の正直な気持ちを伝えた。



「…大好きなんです、秋山さんのこと。」

「あぁ、そう…。」

「秋山さんは?」





「……愛してるよ、君の事。」

「へ?」



また聞こえなかった。…私、重要な所を聞き逃してるな。



「え、聞こえませんでした、なんですか?」

「…もう絶対言わないよ、こんな恥ずかしい事。」

「恥ずかしいんですか、秋山さん?」

「……、」

「あ、本当だ、耳まで真っ赤ですね。」

「煩いよ、君。」



今は、この小さな幸せが壊れないように。
いつまでも、2人楽しく居られるように。
そう、願うしかなかった。





好きと愛してるの間に、
                     いつも秋山さんは居るんです。










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リクエストは【エトウさんと秋山さんの直ちゃん争奪戦】でした。笑
ちょ、すみません難しかったです…。殴
もう少し秋山さんと江藤さんに火花をぱちぱちさせたかったんですけどねー…。
私にそんな技術はありませんでした。笑殴
リクエストありがとうござました。
また是非リクエストしてくださいね。^^