日曜日。お日様の出ている気持ちの良い日だった。私は秋山さんの家にお邪魔して、のんびりとくつろいでいた。何か用事があったわけじゃないけど、なんとなく、秋山さんと一緒に居たかったから。



「えへへ」

「…何、」

「もうすぐ私の誕生日なんですよ。」

「そうか。良かったな。」

「はいっ、今日、当日は渡せないかもしれないから、って、お父さんからプレゼント貰ったんですよ!」



ふぅん、とそっけない返事をした秋山さんは、私の方をちら、と見た。



「誕生日、いつだ?」

「え、私のですか?」

「君以外に居ないだろ。」

「あ…明日です。」



正直に自分の誕生日を言うと、秋山さんは「へぇ」と興味なさそうに言った。(それなら聞かなければ良いのに。)
私はお父さんからプレゼントとしてもらったぬいぐるみを取り出した。それは、小さくて薄茶色の可愛らしいくまのぬいぐるみだった。部屋のどこに飾ろうかな、と考えていると、秋山さんの馬鹿にしたような声が聞こえた。



「今時くまのぬいぐるみもらって喜ぶ奴いるか?」

「可愛いじゃないですか、ちゃんと見て下さいよ。」

「そんな小学生じゃあるまいし。」

「…う、」

「君は本当に変わり者だな。」



そんなに馬鹿にしなくたっていいと思う。…まぁ、くまのぬいぐるみもらってこんなに喜ぶ私は小学生みたいかもしれないけど…でも本当に可愛いんだもん、このぬいぐるみ。そう言いたい気持ちをぐ、っと抑えて、私、変わってなんか無いですよ。とだけ言った。



「まぁいいけど。…で、もうこんな時間なんだけど?」

「へ?」

「家、帰らなくていいの?何か用事あるっていってたけど。」

「あ、そうだ、私これからお父さんのっ!!」



忘れてた。今日は、お父さんが検査する日で…これからホスピスに行かなくちゃいけないんだった。秋山さんに言われなかったら、このまま忘れてのんびりしてる所だった。



「おい、」

「はい?」

「君、明日何か用事入ってるのか?」

「え…っと、特に何も…」

「あ、そう。明日、ちょっと言いたいことあるから…家で待ってろ。」

「はい、わかりました…けど、言いたいことあるなら今言っても…」

「明日じゃなきゃ駄目なんだ。」

「…そうなんですか。わかりました。じゃあ、待ってますね!」



秋山さんが、何を言いに来るのかはわからない。でも、なんだかすごく明日が待ち遠しくなった。どんな理由でも良い、秋山さんと一緒に居たい。秋山さんと一緒に居ると、すごく落ち着くから。





       *  *  *

次の日のお昼ごろ。
どんどん、とドアを叩く音がした。きっと秋山さんだ。(この家に来るのなんて秋山さんしか居ないし。)
そう確信して、私は確認もせずにドアをあけた。



「秋山さんっ、」

「…確認、」

「え?」

「確認ぐらいしろよ。」

「あ…でも此処に来るのなんて、秋山さんしか…」

「そういう甘い考えがいけないの、君は。」

「…すみません、」



何だか申し訳なくなって、しょんぼりしながら秋山さんに謝った。(秋山さんに謝った所でどうにもならないけど。)
秋山さんは「いや…別に良いけど、」と気まずそうに言いながら、私に一つの小さな箱を手渡した。



「…なんですか、これ?」

「それやるよ。誕生日だろ、今日。」

「え、あの…、」

「じゃあな。」

「えっ、あ…っ、秋山さんっ!?」



急いで呼び止めようとしたけど、秋山さんはもう行ってしまった。残された私は、ぱたん、とドアを閉め、秋山さんからもらった小箱を開けた。すると、










「…っ、と、わっっ!!!」



箱を開けると、びょん、とばねの付いたピエロの顔ようなものが飛び出してきた。…つまりそれは、びっくり箱で。酷いです秋山さん。



「…はぁ……、あ、あれ…?」



小箱を持ち上げた時に、コト、という音が聞こえた。箱の中に何か入っているようだ。…またびっくりするような仕掛けだったら、いやだなぁ…。



「……、な、なんだろう…。」



それでも恐る恐る箱の中を覗き込む。きらり、と光が反射したような気がした。…え、光が…反射?



「…これ、って……、」



中に入っていたのは、可愛らしいシルバーの指輪だった。そっと自分の指にはめて、きらりと光る指輪を見たら、なんだか嬉しくなった。











遠まわしなプレゼント
                     でも私には、すごく嬉しいですよ、秋山さん。