ドキドキしながら、ボタンを押す。
がこん、という音と共に出てきたのは、1ケース分の、煙草。
その煙草を見て、良し、と呟くと、は思い出したように走り出した。
は、瑠樺に頼まれて煙草を買いに来ていたのだ。
咲人と付き合っているは、ナイトメアのメンバーと仲良くなっていた。

ガタ・・・ッ、ガタガタ、バタンッ



「瑠樺さ・・・っ、た、煙草・・・!!」

「遅ぇよ。」



の途切れ途切れの言葉と、しっかり手に握られた煙草の箱を見て、瑠樺は全てを理解したらしい。



「まーまー、瑠樺さんそう怒んないでさー。」

「・・・つか、これ俺が頼んだヤツじゃねぇし・・・。」



黄泉のフォローを軽くスルーし(酷)、瑠樺は不機嫌そうに言った。



「え?私ちゃんと買ってきたハズ・・・」

「はぁー・・・まぁ良いかこれで。」

「すいませーん、そろそろ黄泉さんお願いしまーす。」

「え、あ、もう俺?じゃあちゃん、行ってきまーす。」

「行ってらっしゃい。」

「あ、瑠樺さん!ちゃんに変なコトしないでよ?ちゃんは俺のだからね!」

「な、何言ってんの黄泉くん・・・」

「・・・逝ってらっしゃい。」

「・・・・・・;」



字が違う・・・とはつっこめない黄泉。(瑠樺さんのオーラが黒すぎて。)(何でも殺気混じりらしい。)
泣きそうになりながら黄泉は撮影に行った。



「・・・・・・あ、お前コレ一本吸ってみる?」

「え、いや良いですよ!」

「吸った事ねぇんだろ?ほら。うまいから平気だし。な。」



瑠樺に促され、は戸惑いながらも白く細長いそれを手に取った。
瑠樺は満足そうにそれに火をつける。



「・・・・・・・・・ぅ、ゲホッ、ケホ、コホッ・・・まず・・・っ」

「え、お・・・おい・・・っ、」



は煙草の煙を思い切り吸い込んでしまったらしい。
予想以上にむせる。少し慌てる瑠樺。



「うっ・・・ゲホッ、うぅっ・・・るかさんのバカ・・・っ、おいし、くな・・・っ」

「ちょ・・・・・・、・・・っ!?」



咳き込みすぎて倒れそうになったを、瑠樺は慌てて支え・・・ようとした。



「・・・うわっ、」



しかし、支えきれず2人はほぼ同時にソファに倒れこんでしまった。
ため息をつきながら起き上がる瑠樺。



「・・・・・・あ、」



そこで気付く。

(・・・これ、俺がコイツ押し倒してるみてぇじゃん・・・汗)
↑かなり危険な体制になっているのに心の中で可愛いだなんて思ってる馬鹿一人。

調度、その時だった。
がちゃり、と楽屋のドアが開く。



「・・・・・・・・・何してるんですか。」

「さ・・・きとっ・・・!」

「よぉ、撮影もう終わったのか?」

「よぉ、じゃないですよ。」

「・・・あ。」



今の状況。
(咳き込んだ所為で)涙目で、息を荒くして、
(かなり全速力で煙草を買いに行った所為で)顔を赤くした
そしてそれを押し倒している(ように見える)瑠樺。
咲人を誤解させるには十分だった。



「・・・いや、これは・・・、」

「俺の彼女に手を出さないでくれませんかね?」

「そうじゃなくて・・・」

「そろそろ瑠樺さんお願いしまーす。」

「・・・じゃっ、」



逃げるように楽屋を出て行く瑠樺を、咲人は冷たい目で見つめていた。





「・・・大丈夫?何かされなかった?」

「ぅ、うん・・・、へーき・・・(煙草吸わされたけど)」

「・・・はぁ・・・、だからは連れてきたくなかったんだ・・・。」

「・・・やきもち?」

「・・・・・・そうだよ。」

「んっ・・・!?」



クスリ、と笑う目の前の愛しい彼女に、咲人はそっとキスをした。



「ちょっ・・・さ、咲人・・・!?」

が可愛いから悪い。」

「意味わかんないし・・・。」



すると咲人は、を強く抱きしめた。
いきなりのことで驚く



「なっ・・・何っ?」

「・・・なんか俺、独占欲が強くなったかも。」

「・・・え、何言ってんの?」

が他の人と話してるだけで何か嫌だっていうか・・・」

「・・・子供みたい。」

「本当にね。」

「・・・・・・そろそろ放してくれない?」

「駄目。」



を離すまいとさらに腕に力を込める咲人。
抵抗が無駄だと気付いたは苦笑いをこぼし、腕を咲人の背中に回した。
咲人は一瞬驚いた顔をした後、にっこり微笑んでにキスをした。





「(・・・・・・どうしよう・・どうする?)」

「(いやいや、俺にきくなって・・・。)」



撮影が終わった柩と新弥が楽屋の前でうろたえていたのは、また別のお話。