「今日、お散歩に行かない?」
「…は?何いきなり。」
彼女はいつも突発だった。
だからその時も、あまり不思議には思わなかった。
「だって、夏なのに涼しいでしょ?」
「だから何?」
「これからだんだん暑くなるから、今のうちに涼しい風を体に吸収させておいた方が得でしょ?」
「……。」
損得の問題じゃないだろ、と突っ込みたかったが、にっこり笑いながら堂々と言うを見て、反論する気も失せてしまった。
はぁ、と一つため息をついて。
もう今から何を言ってもには通じないだろうと思い、こくん、と頷く。
「行ってくれるの!?」
「…行きてぇんだろ?」
「う、うん…私は、行きたい、なぁ…。」
「なら、行く。」
「えっ、それってさー!」
「るっせー。早く行くぞ。」
照れ隠しに急かすように家を出る。
後からたたた、と可愛らしい足音と共にが来た。
「ささっ、早く行こー♪」
「何処行くんだよ。」
「あっ…決めてなかった…。」
「…はぁ。」
「うぅーん…どこにしよう…何処がいい?」
そんなの、俺に聞かれてもなぁ…。
「…公園。」
「あははっ、なんか定番…!でも良いね、そうしよう!」
笑われたのは少し気に食わなかったが、とりあえず公園に行くことになったらしい。
異様にハイテンションのまま、はどんどん歩き出す。
少し小走りして、の隣へと移動した。
「瑠樺ってさ、謎だよね。」
「何だよ、それ。」
「すごい私に素っ気無いくせに、私と付き合ってくれたりさ。」
「……」
「良く、わかんないよね、本当。」
「…お前、俺と付き合えて嬉しいか?」
どうしても、その答えが知りたかった。
は俺が付き合ってくれてる、なんて言っているけど、
俺にとっては、が俺を選んでくれた方が不思議で仕方が無かった。
「あはは、なんか俺様だー。」
なのに、そんな軽く流されて。
少しショック受けて。
無意識のうちに歩幅が広くなっていたのかも知れない。
「…る、瑠樺…怒った?」
「別に。」
「う、嘘だー、絶対足速くなってるもんー!」
なんて不満を洩らすを無視して、どんどん歩く。
もともと、人ごみは嫌いだった。
だから余計にイライラする。
すると、後ろからの声が聞こえなくなった。
…少しやりすぎたか、と思ってふと後ろを振り返った。
「―――……?」
が、居なかった。
完全にこの人ごみの中見失ってしまったらしい。
「…っ、」
迷子くらい、そんなに危ない事じゃない。
俺たちだって、もう子供じゃない。
はぐれたって別々でも、家に帰れるんだ。
でも…心配で、仕方なかった。
「…、」
馬鹿みたいに彼女の名前を呼んだ。
こんな呟くような声じゃ彼女に届かない。
それくらい、解っていたけれど。
「…瑠樺さっ…瑠樺さんっ…、」
小さく聞こえた、間違えるはずもない彼女の声。
本当にこの人ごみの中に消えてしまいそうな、小さな声が聞こえた。
「…っ!?」
無我夢中でその方向に向う。
人を掻き分けた、そこには、涙目になった彼女の姿。
「良かっ、たぁ…っ」
「…馬鹿。はぐれんじゃねぇよ。」
「だっ、だって…!」
「大体、いつもべったりなくせにこんな時に消えるなよ、馬鹿。」
「瑠樺さんが足速かったんでしょ…!!」
「…お前が遅ぇんだろ。」
「……、そうかもね。」
…怒らせてしまったかもしれない。
彼女は素っ気無くそう答えて、一人で勝手にすたすたと歩き出す。
「何処行くんだよ。」
「家、帰る。」
「……悪かっ」
「あのさぁ、」
俺の言葉を遮るように、が言う。
「私、瑠樺さんが好きなんだよ。」
「…知ってる。」
「俺と付き合えて嬉しいか、なんてそんなの嬉しいに決まってるじゃん。」
「……、手。」
「え?」
「手、出せ。」
「…う、うん?」
は不思議そうに手を差し出した。
その手をぎゅ、と強く握って、歩き出す。
「な、何いきなり…っ、」
「こうすれば、はぐれねぇだろ。」
「まぁ…そ、そうだけど…」
「俺もさ、の事大好きなんだけど。」
「え?」
「…恥ずかしい事何度も言わせんなよ…。」
「……、」
「さっきだって、お前が居なくなってすげぇ焦ったし。」
「…うん、私も。」
「いっそ、一緒に住んだ方が安心なのかもな。」
自分でも急な発言に驚いた。
それ以上には驚いた様子で(当たり前か)、目を大きく見開いて聞き返す。
「えっ、は?」
「何?」
「いや、それってプロポーズだよ?」
「そうだけど…問題あったか?」
「いや、問題あるとかそんなんじゃなくてさ…、」
「じゃあ何。」
「……タイミングってもんが、あるでしょ。」
「そんなのどうでもいいし。」
「…うぅ、本当に自分勝手…。」
「で?お前の答えは?」
自分でなんでこんなに冷静なんだろう、なんて不思議に思う。
目の前の彼女はというと、顔を真っ赤にしながらポツリ、と呟いた。
「新婚旅行…ちゃんと連れて行ってくれる?」
顔を真っ赤にしたまま、こっちを見る。
俺の方が背が高いから、必然的に上目遣いになった。(…その顔ヤバイから、マジで。)
我慢できなくなって、にそ、とキスをする。
それから、
「おう、何処行くか、考えとけよ。」
なんて俺が呟いて、彼女はさらに顔を赤くさせた。
*****************************************************
リクエストは【ナイトメア夢で、できればプロポーズされる感じ】でした。笑
ちょ、すみません、なんだかおかしなことに…;;
ただ今日迷子になって、瑠樺さんに見つけられたら良いなぁなんてノリで書いてました!殴
折角のリクエストを…スイマセン…!!
リクエストありがとうござました。
こんなヤツですが、また是非リクエストしてくださいね。^^殴