「なぁ、俺にも見せろよ。」

「わっ、押すなって…っ」

「…俺見えねぇし。」

「俺も。」






何だか、ものすごく騒がしい。
急に騒がしくなったのを不審に思った私は、重たい瞼を持ち上げた。






「あ、目覚めた?」

「…黄泉さん…?」

「あ、俺は黄泉でいいよ。」

「…ん、その人達は…?」






私がそう言うと、黄泉以外の3人は目を見開いた。
…あれ、私何か変な事言ったっけ…?






「…俺らのこと知らねぇの?」

「あー、俺たちのファンじゃないみたい。」






なんて、こそこそ話し出した。
ファン…?もしかして「V系コンテスト」みたいなのがあって、それの優勝者とか…?
や、ありえないなそれは…。
いや、でもありえるのかな…あぁー、もっとV系調べれば良かった…。
でもきっとあるんだろうな、コンテスト…。
やっぱり優勝者かなぁー…。






「…ゆっ、優勝おめでとうございます…っ」

「…は?」






わ、なんか知らない人に呆れられた…!(プチショック!)






「…お前…馬鹿だろ。」

「なっ…!」






あげくの果てには知らない人に馬鹿呼ばわり。(しかも笑われた…!)






「俺たちさー、【ナイトメア】なんだよね?」

「あ、なるほど。だからファンがどーのこーのって……って、え、ちょっと待って。」

「?」

「黄泉さ…よ、黄泉たちが…【ナイトメア】なの…?」

「うん、そうだよ。」

……うぇっ!!?

「や、気付くの遅いから。(…ってか、うぇ、って…。)」






え、それじゃあ今私はナイトメアさんと話してたって事…?
私はナイトメアさんと話してて、実は黄泉がナイトメアさんだから、ナイトメアさんは黄泉…は?






「え、うそ…じゃあ黄泉はナイトメアでナイトメアが黄泉でライブが黄泉の会場…っ!」

「…なんだそれ。」






いやいやいや、ちょっ、タンマ!
え、ありえないっしょ、ナイトメア…は、何それ…っ!?






「…え、じゃあなんであの時黄泉は会場の外に…!?」






そうだよ、確かあの時はライヴ中だった…!
それなのに私は黄泉にこの部屋案内されたし…。






「あ、それは…休憩?」

「きゅっ、え…?」

「…ボーカルさんがガラガラ声になっちゃってねー。」

「うるさいなー…。」

「えっ、黄泉がボーカルなの?」

「え、あぁ、俺がボーカルだよ。」

「…ブッ、」

「あっ、今笑ったでしょ、ねぇ?」

「えぇと…すみません、私メンバーよくわからないんですけど…、」

「…(無視か…。)」













ナイトメアさんは、もしかしたら凄く良い人だらけなのかもしれない。
ボーカルの黄泉。(ちなみにゾジーとも呼べるらしい。)
ギターの咲人と柩。(呼び捨て許してくれた!)
そしてドラムの瑠樺さん。(…呼び捨て駄目だって。)(というか、目つき怖くて呼び捨てできない…)






「…わーっ、ファンの子ってすげぇー」






とか言いながら一人の青年が入って来た。
…また訳のわからないV系さんが増えてしまった。(失礼だって)






「あ、この人がベースの新弥。」

「…?こんにちは…、って、この子だれ?」

「ゾジーが拾って来たんだって。」

「(ひ…拾ってきた、って…。)」

「あ、名前は?」

「…え?あっ、あー!」






黄泉に訊かれて初めて私だけ自己紹介していないことに気付いた。






です!…って、あー!どうしよう!」

「どうしたの?」

「今日友達と来てたから…もしかしたら待たせてるかも…」






慌てて荷物をまとめて、失礼しました、とだけ挨拶をして楽屋を出た。













そして、そのまま友達の元へ…というはずだったのに。






「あ…あれぇ…?」






見事に道に(…というか廊下に)迷ってしまった。
そうだ、私は方向音痴だ。…忘れてた。(…あぁもう馬鹿だな私…)






「…お前何やってんの。」

「え、あ…新弥さん…。」




















……俺、瑠樺だけど。







「あ、あはは…スミマセン…っ、」






…間違えた。
だ、だってV系ってみんな顔同じ…っ!!(や…違うけど、)






「別に。…何してんの、こんな所で。友達待たせてんじゃねぇの?」

「…スミマセン、迷いました。」

「は?」

「うーっ、もういいですよーっ!」






流石にこんな建物の中で迷ってしまったと言うのは恥ずかしい。(しかも二回も。)
あまりにも恥ずかしくて、これ以上沈黙を作るのも嫌で、私はそこから立ち去ろうとした。






「ちょっと待てって。」

「…っ!?」






…引き止められた。
歩こうと思っても、瑠樺さんに掴まれた腕がぴくりとも動かない。






「お前、迷ってんだろ?」

「き…っ、聞こえてたんですか…!?」

「や、何となく。…そっち逆方向だし。

「…え、」

「はぁ…。こっち。」

「へ、あ…あの…?」






瑠樺さんは、「こっち」と言いながら私の行こうとした逆方向に歩いていった。
…私の手を握って。






「…る、瑠樺さん…?」

「何?」

「いいんですか、有名人がこんなに普通に歩いてて。」

「…まぁ大丈夫だろ。」






なんてマイペースなヤツだ。
そんなこんなで、やっと私の知っているところまで辿り着いた。






「あ、ここからはもう大丈夫です。ありがとうございます。」

「あそ。…じゃ、」

「あ、あのっ、」

「…?」

「お礼っ、お礼させてください!」

「…これ、」






渡されたメモには、見覚えの無いメールアドレスが書いてあった。






「…俺のだから。暇な時メールして。返事すぐには出せねぇけど。」

「へ?…あっ、はい…。」






それだけ言うと、瑠樺さんは戻ってしまった。






「あ…ありがとうございましたっっ!!」

「…るっせぇな…。」













この時、心臓の音がうるさかったのは、きっと大声で叫んだ所為だ。
……この時は、そう思っていた。














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ごめんなさい!!
1話目と2話目のタイトル逆でした!!(←馬鹿!)
直しておきました…本当にごめんなさい…。