カチカチカチ、



普段あまり使わない携帯電話のボタンを押す音が、やけに大きい。



ドキドキドキ、



こんなに胸が高鳴るのは、一体どうしてだろう。



この答えに、私はまだ気付かない。
























「あれ、瑠樺さんが携帯いじるなんて珍しいですね。」

「あ?…あぁ、メール来てたから。」

「瑠樺さんがメールですか?」

「るっせーよ。」






携帯を開くと、未読メール一件の表示。
まだ内容は読んでないけど、見た事の無いメールアドレスを見ると、きっとあいつだろうと確信する。

俺たちのファンでもないくせにライヴにのこのことやって来た。
…つーかどうして俺はアドレス教えたんだっけ?









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From:xxxxxx@xxxx.xx.xx
[件名]こんにちは
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こんにちは。
です。

メールアドレスありがとうご
ざいます。
あの、早速ですけど、お礼
したいので…えっと、来週
の土曜日空いてますか?

お忙しいとは思いますが、
出来るだけ早く返信くださ
い。すみません、わがまま
言って…。
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そんなメールを見て、自分の頬が緩むのを感じた。
これではまるで俺があいつを好きみたいじゃないか、と、慌てて口元を隠した。
一緒にいた咲人が不思議そうな顔をしたが、そんなのは無視する。






「誰からですか?」

「この前の奴。」

「この前の…あぁ、さん、でしたっけ?」

「それ。」

「瑠樺さん、その子のこと好きなんですか?」

「は?別にそんなんじゃねぇし。」

「…でも、さっきから嬉しそうな顔してますよ。」






咲人に指摘されて始めてそのことに気付く。






「…るっせぇな…、」

「それより早く返信してあげたらどうです?」

「あ…、」






そうだ、返信しないと。
使い慣れない携帯電話をカチ、カチ、と押して、一つの文章を作る。
…そっけない気がするが、まぁいいか。









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To:
[件名]Re:こんにちは
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空いてる。
待ち合わせ場所決まった
らまたメールしろ。
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パタン、と携帯を閉じる。
こんなにメール一つ送るのに気を遣ったのは何年ぶりだろう。
…なんて考えながら、俺はゆっくりと瞼を閉じた。






「あれ、寝るんですか?」

「あー…30分。」






そう、適当に返事をして、俺は本当に眠りに付いた。





























「なんだこれ。」






ある喫茶店にて。
今日はバイトも学校も無いから、お散歩してのんびりしようと思っていた。
そして携帯の画面には、瑠樺さんから送られてきたメールが表示されていた。
…そ、そっけない。
なんだこの返信…。






「いやまぁさー、別に瑠樺さんは長文送ってこなさそうだけどさー…」

「誰が長文送らないって?」

「え、だから瑠樺さ……へ?」

「俺、覚えてる?」

「えっと確か…柩さん、ですよね?」

「あっ、ちゃんと覚えててくれたんだ。良かった。」






ニッ、と笑う柩さん。
…あ、なんか可愛いかも。
あー…でも、男の人に可愛い、っていうのは流石に失礼か。うん。






「何?瑠樺さんにメールしてるの?」

「あー…ハイ。この前、ちょっとお世話になったので…お礼を、と思って。」

「へぇ。」

「…あ、柩さんもこんな所で何してるんですか?」

「俺?俺は散歩。というかさ、俺の事呼び捨てで良いよ、って言ったでしょ?」

「え…あー…、でもなんか…言えないです。目上の人、って感じがして。」

「でも俺は呼んで欲しいな…。」

「え、」






一瞬、どきりとした。
柩さんが、あまりにも悲しそうな顔をしたから。
…うわ、傷つけちゃった、かな…?






「…あ、じゃあ俺はもう行くね。」

「あ、さよなら…、」

「うん。」






帰り際の笑顔も、何だかさっきの笑顔と違う。
…だから、






「バイバイっ、またね、柩!!」






喫茶店を出て行く柩に、そう叫ぶように言った。
柩は一瞬驚いた顔をしたけど、すぐにまたあの笑顔に戻って、






「ん、またね。」






そう、返事をしてくれた。(あぁもう可愛いな…、)
柩を見送ってから、瑠樺さんとの待ち合わせ場所どうしようか、と考えながらため息をついた。




















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なんかつまんない…爆
とりあえず、握手会の柩が可愛かったから…絡ませたかった;;笑