『……めんどくせぇ。』
「えぇっ!?」
瑠樺さんに電話をしたは良いものの、返ってくる言葉は『めんどくせぇ』の一言だった。
「でっ…でも、場所決めろって言ったのは瑠樺さんで…!!」
『…もっと良い場所ねぇのかよ。』
「良いじゃないですか、遊園地…。」
『……かったりぃ…、』
「なっ…!?」
『……はぁ…、何時?』
「えっ?」
『待ち合わせ。』
「行ってくれるんですか!?」
『あ?行きたくねぇのか?』
「いいいっ、いや、行きます!えっと…10時なんてどうでしょう?」
『…10時?』
「あー…一人でちゃんと起きれます?早すぎて一人で起きれないかな?」
『…ふざけんなてめぇ…馬鹿にすんなよ。』
「じゃあどうですか、10時。」
『…ったよ、10時な。』
投げやりな答えに思わず笑いそうになりながら、とりあえず通話を終了させた。
…何着て行こうかな、なんて乙女な事を考えながら、ベッドに倒れるように横になった。
「…土曜日かー…。あ、明日じゃん…;;」
明日がその約束の日だという事をすっかり忘れていた。
本当に何着て行こう…。
「…って、私必死にならなくても良いんだよね…。うん。」
そうだった。
別に相手の事を好きなわけじゃないし、そんなに気を遣わなくても良いんだけど…。
気に入って欲しいとか思ってるわけじゃないんだけど…。
「な、なんか私、瑠樺さんの事好きみたいじゃん…。」
自分で思わず苦笑いをした。
一応明日着ていく服を考えて、もう夜遅いから、とすぐに眠りに付いた。
「…………遅ぇ。」
「ごっ、ごごご、ごめんなさっ…!!」
結局、朝起きれなかったのは私だった。(…な、情けない…)
怒り気味の瑠樺さんに必死に言い訳して、とりあえずは許してもらった。
急いで切符を買って、電車に乗る。
幸い席は空いていて、二人とも座る事が出来た。
「…んー…、」
「何?」
「瑠樺さん有名だから、こんな普通に遊園地に行って良いのかなぁって思って。」
「…今更。」
「いや、まぁ…そうなんですけどね。」
「別に。そんなのどうでも良いし。」
「あははっ、瑠樺さんらしいですね。」
なんて、楽しくお話している間に電車は目的地についていた。
慌てて電車から降りて、遊園地に向かおうとした。
「……どっちだっけ…?」
「…あー、お前方向音痴だったな。」
「煩いですよ瑠樺さん。」
「普通の声量だし。」
「そんな問題じゃないですっ。」
「こっち、じゃねぇの?」
「え、…そうなんですか?」
「知らね。」
「まぁ…適当に歩いてれば着きますよね、きっと。」
「おー。」
歩く事30分。
なんとか遊園地に辿り着けた。(…本当は徒歩5分で行けたらしい。)
でも辿り着けたから良しとしよう。
「わーっ、遊園地ですねー。」
「何だよその感想。」
「いやー…あっ!あれ行きましょうよ!メリーゴーランド!!」
「は?遊園地っつったらジェットコースターだろ。」
「…ジェットコースター、乗れないんですよ私…。」
「お前…それでよく遊園地来る気になったな。」
「うー…」
とりあえず、メリーゴーランド乗りましょう!と半ば無理矢理瑠樺さんをメリーゴーランドに乗せた。
…ちなみに、私と瑠樺さんは何とも可愛らしいカボチャの馬車に乗った。
「うわーっ!回りました回りました!景色が動いてますよ瑠樺さん。」
「……降りてぇ…」
文句を言いながらも、瑠樺さんはちゃんと最後まで乗っていてくれた。
その優しさに、ちょっとだけ頬が緩む。
「何にやけてんだよ。」
「えっ、別に、にやけてないですよ…っ!」
「あ、そ。あ、次あれな。」
「えぇ…!!?」
瑠樺さんが指差したのは巨大ジェットコースター…。
私が乗れないのを知ってて、わざとにやにやしながら「あ、お前乗れないんだっけ?」とか聞いてくる。
…イライラ。
私だって乗れますよ!なんてノリで言い返してしまった。
並び始めてから後悔してももう遅い。
「…あああ、じゅ、順番が近い…!」
「大丈夫か?」
「だっ、大丈夫に、き、きき、決まってるじゃないですか…っ、」
「…どもりすぎ。」
わ、笑われてしまった…!
というか、それ所じゃない。
あと少ししたら、私と瑠樺さんの番。
…どうしよう…怖すぎる……。
「るるるっ、瑠樺さん…、」
「あ?」
「ちょ…、腕、良いですか?」
「は?」
瑠樺さんの返事を聞く前に、瑠樺さんの腕につかまる。
既に足はがくがくと震えていた。(…すみませんね、チキンで。)
いきなり腕に抱きついて、瑠樺さんは驚いたようだった。
でも、すぐにいつもの無表情に戻って、はぁ、とため息をついた。
「お前、怖いなら最初から怖いって言えよ。」
「…だ、だって…、」
「だって?」
「…かっ、……かっこ悪い…、」
「は?」
「……かっこ悪いじゃないですか、怖いとか言うの…。」
「(…顔、真っ赤。)」
ぼそりぼそりと言うと、瑠樺さんは笑いながら、
「じゃあ、やめるか。俺もそんなに好きな訳じゃねぇし。」
なんて言った。
「…あ、あれならいけるだろ?」
「へ…お、おばけ屋敷…。頑張れば入れます…っ!」
「やめるか?」
「いやっ、大丈夫ですっ!!」
誰も並んでいないおばけ屋敷の入口に行き、受付を済ませる。
どうぞー、なんて不似合いな明るい声が聞こえて、私達は中へと入っていった。
「…っ、うああああっ、す、すみません!!」
「何幽霊に謝ってんだよ。(笑)」
「あーっ、頭から血、出てますよ!大丈夫ですか…!?」
「そういうお化けだからだろ。お前、本当に弱いんだな。」
「だっ…だって…!!」
ちょうどその時、瑠樺さんの背後からぬーっ、と、幽霊が出てきた。
黒くて長い髪に、白い肌。
例えるなら、リングの貞子のような感じだ。
「うううっ、る、瑠樺さん後ろ!」
「…っ!?お前何俺の後ろに居んだよ!!ざけんなっ、馬鹿…!」
「……、」
「おいっ、行くぞ…っ!」
「えっ、え、あ…!?」
瑠樺さんはおばけに軽く逆ギレしながらも、出口まで私を引っ張っていった。
…何だかんだ言って、瑠樺さんも怖いのかな、なんて考えて笑ってしまった。
「何笑ってんだよ…。」
「あははっ、すみません……っ、うぐぁ!!」
出口寸前。
いきなり出てきたおばけに驚いて、瑠樺さんに抱きついてしまった。
…瑠樺さん困っちゃってるし…(すみません本当…)
「ご、ごめんなさい…!!」
「……、」
「で、でもちょっとこのままいいですか、あの…怖くて…、」
「…別に良いけど。」
とりあえずそのまま外に出る。
…と、
「あっれー、瑠樺さんじゃんっ!…てか何でちゃんとそんな仲良いのっ?」
「あ、本当だ。…瑠樺さん、こんな所で何してるんですか?……こんな人目に付く所でデートですか?」
「え…っ、あ…あぁっ!!」
おばけ屋敷の出口で、黄泉と咲人がこっちを見ていた。
咲人の呆れたような一言に、私は今の自分の体勢の恥ずかしさに気付いた。
…そう、だよね。
男女なのに抱きついて密着しておばけ屋敷から出てきたら…なんというか…カップルみたい…だな。うん。
「うあっ、す、すみません瑠樺さん…っ、」
瑠樺さんから慌てて離れる。
黄泉は未だにやにやしながら、「なんで仲良いのー?」と訊いてくる。
「るっせーな…。」
「あれ?瑠樺さん、照れてる?」
「……、」
「うわ、黙っちゃったよー。」
「うぜぇ…。」
「よ、黄泉、本当にそんなんじゃないから…。」
「じゃあちゃん、俺と一緒におばけ屋敷入ろ?」
「……はい?」
「だからっ、俺と一緒に入ろ?」
「え、でも…、」
「一回ぐらい良いじゃん、ね?」
「ぅ…うん、じゃあ一回なら……」
「ざけんなよゾジー。お前に好かれようなんて早ぇんだよ。」
私の言葉を遮るように瑠樺さんの不機嫌な声が聞こえた。
黄泉は納得いかない様子。
「何、瑠樺さん、ちゃんのこと好きなの?」
「は?違ぇよ。」
「じゃあ一緒に入ったって良いでしょ。俺だってちゃんと遊びたいしー!」
「うっせぇな、チビのくせに。」
「……モーヲタなくせに…。」
「あ?」
「なっ…な、なんでもないです…。」
さっきまでの勢いは何処へやら。
瑠樺さんのキレた声に、黄泉は小さくなった。
「瑠樺さん…そんな怒らなくても…。」
「るっせー、行くぞ、。」
「何さーっ、彼氏ぶっちゃってさー!」
「…あ?」
「……いや、二人ともお似合いだねぇ…。」
黄泉は、瑠樺さんにはやっぱり勝てないようです。
そして、私は思いついたように瑠樺さんに言った。
「あ、それじゃあ、私と瑠樺さんと黄泉と咲人の4人で回れば良いんじゃないですか?」
「それ良いねー!そうしよう!!」
「………、」
瑠樺さんは不機嫌だったけど、私が何度もお願いしたら許してくれた。
という事で、4人で遊ぶ事になったんだ、けど…
「何処行くー?あ、此処良くない?」
「は?何言ってんだよ。此処だろ?」
「え、こっちのが良いよ!ね、咲人。」
「……どっちでも良いんじゃないですか?」
「私も何処でもいいや、もう…。」
結局瑠樺さんと黄泉が言い争ったりしてたから、たくさん歩くけど何も乗れない状態だった。
「…なんか、ごめんね、ちゃん。」
「へ?どうして咲人が謝るんですか?」
「いや、なんかお邪魔しちゃったかな、って。」
「別に…そんなんじゃないですよ。気にしないで下さい。」
「そう?でもどっちにしろ、こんな風に歩くだけなのはつまんないでしょ?」
「あはは、大丈夫ですよ。私歩くの好きだし…。それに、咲人とも話せてるし。」
「え?」
「ほら、私と咲人って二人で話す事なかったから…なんか、嬉しいなって。」
「…ありがとう。」
「い、いや…こちらこそ。」
「……ちゃんって、瑠樺さんが好きなの?」
「え、ぃ、いや…違いますよ…!!」
「ふぅん…。」
とりあえず、咲人とたくさん話す事が出来たから良かったな、なんて。
そんな淡い幸せを実感しながら、これから何処へ行こうかな、と呑気に考えた。
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いや…ただ、【おばけが恐いっ瑠樺同盟】に入ってるので。(え)
ただおばけが怖くて逆ギレしてる瑠樺さんが書きたかった…というだけの話。爆
それにしても私の書く悪夢はキャラ崩れが激しい…。汗