ピリリリリ、ピリリリリ、
煩いなぁ、なんて思いながら携帯電話を取る。
誰からかかってきた電話かわからないけどとりあえず出てみる。
「…もしもし。」
『あっ、もしもし?ちゃん?俺、柩だけど。』
「え、あ…どうしたんですか?」
『なんか、これからメンバーと飲みに行くんだけど…、ちゃんも来る?』
「私ですか?えぇっと…私が行っても良いんですか?」
『うん、寧ろお願いしたいくらいだよ。ゾジーがちゃんに会いたいって煩くてさー…。』
柩がそういうと、電話の向こうから小さな声で「俺の事は言わなくていいって!」なんて必死な黄泉の声がした。
「あはは…。じゃあー…お邪魔しようかな?」
『えっ、良いの…?どうなっても知らないよ?』
「どうなっても…?」
なんとなく柩の言葉が引っかかったけど、とりあえずお店を教えてもらって電話を切った。
電話を切ったとほぼ同時に、また携帯電話が鳴り出した。
なんだか、今日は電話が良く来るなぁーー…。
「もしもし?」
『あっ、?今から時間空いてる?』
電話の相手はV系好きの友達だった。(『幸せになるための10の法則』01参照)
友達には私がナイトメアと連絡を取り合ったりしている事を言っていない。
ナイトメア本人に、この事は絶対広めないでね、といわれていたのも理由の一つだけど…。
「どうして?」
『ナイトメアのサインがねー!あるらしいのーっっ!キャー最高ー!!』
…一番の理由はその事を知ったら犯罪しかねないと私が判断したからである。
「ご、ごめんね…私これから用事あるから…。」
『えぇー、そうなんだ。わかった、じゃあまたねっ』
「うん。ごめんね。またね。」
ほんのり罪悪感を感じながらも通話を終了させ、ナイトメアが待っているであろう店へと向った。
「あぁーっ!ちゃんやっと来たー!!」
店に着くなり、黄泉の煩い(失礼)声が聞こえた。
「遅くなってすいません…って、黄泉、酔ってる…!!」
「えへへー。」
まだ飲み始めてそんなに時間がたっていないはずなのに、目の前に居る彼はでれでれに酔っていた。
会いたかったー、なんてぎゅう、と抱きついてくる所を見ると、なんだか子供を見ているようで少し微笑ましかった。
「ホラ黄泉、ちゃんが困ってるって…;;」
「えぇー…」
柩さんのおかげで渋々黄泉は私から離れていった。
ふぅ、と安心してため息をつく。
すると、笑いながら新弥が話しかけてきた。
「ちゃん、大変だね。色々と。」
「いやー…皆さんお元気ですからねぇ…。」
「楽しいっていえば楽しいけどねー。」
「そうですね。こんなにわいわいしてたらつまらない時無さそうですもん。」
「あはは。」
「新弥も飲めよー」
「あっ、呼んでますよ。」
「うん。」
メンバーに呼ばれて新弥はそっちへ向う。
私はそれを少し離れた所から見ていた。
……あの後新弥が無理矢理飲まされて「もう無理ー!!」なんて叫んでいたのは、見なかったことにしよう。
「お前は飲まねぇのか?」
「え?あ、瑠樺さん…。私、お酒飲めないんです。」
「そっか。」
「瑠樺さんもあんまり飲んでないですよ?」
「あ?俺は今日はそんな気分じゃねぇんだよ。」
「そうなんですかー。コーラ、好きなんですね。」
「あー…まぁな。お前も飲むか?」
「ハイ、欲しいです!」
「やらねーよ、馬鹿。」
「……。」
瑠樺さんはそういって笑い、私は瑠樺さんを睨みつける。
私が睨めば睨むほど、瑠樺さんは笑った。(…怒ってんのに。)
「あっ、瑠樺さん抜け駆けー!」
「あはははは!」
「ちょっ…新弥がおかしくなった…!!」
「うるせぇ…」
「ハァ…なんかごめんね呼んじゃって…。」
「いえっ!そんな咲人が謝らないで下さい…!!」
「うぁあーーっ!」
「新弥っ、ちょ、落ち着けって…!!」
騒がしくて、本当に面白い人達だなぁ、なんて今更思った。
…騒がしすぎる、気もするけど。
「そういえば、何かいつもより元気ないよね、ちゃん。」
「えっ…そ、そんな事無いですよ!」
柩にそういわれ、何となく慌てる。
「何かあったの?」
「いや、べ、別に何も…。」
「ふぅん…別にいいけどさ、何かあったら俺に言ってよね。」
「柩…。」
「大丈夫だよ、きっと何だかんだ言って、みんなちゃんの事大好きだから。」
柩は笑いながらそう言った。
その優しさが嬉しくて、それと同じくらい悲しかった。
私が、こんなに幸せを感じてもいいんだろうか、なんて。
「ちゃん…?」
「え、あ…っ、何でもないです、スイマセンっ。」
「何でも無いわけない。…泣きそうな顔してるよ?」
「え…、」
「…あのさ、」
「ひつー、ちゃんー、もう帰るよー!」
何か言いかけた柩の言葉は、黄泉の言葉にかき消されてしまった。
ただ、何となく柩が悲しそうな顔をしたのだけは、確かだった。
「寒…、」
店の外に出ると、辺りはもう真っ暗だった。
ふと、小さかった時の事を思い出す。
そとはもうまっくらで。
「おとうさん、おかあさん。」
よんでも、まわりにはだれもいなくて。
このくらいせかいにひとりだけとりのこされてしまったきがして。
すごく、こわくて…。
「?」
「…っ!?」
瑠樺さんの声で、は、と我に返る。
昔の事を思い出して怖くなるなんて…本当に、どうかしてる。
「どうした?」
「別に…。あれ?皆さんは?」
「は?もう帰ったけど?お前本当にどうしたんだよ?」
「あ…そっか…。」
「はぁーー。」
瑠樺さんは面倒くさそうに、近くの自動販売機でコーラを買ってきて私に差し出した。
「これ飲んで元気出せ。」
「…私がさっきコーラ欲しいって言ったから?」
「おう。」
「私そこまでコーラにこだわりないけど。」
言って、笑ってしまった。
本当に、どうしてこの人はこんなに優しいんだろう。
いつもそっけないくせに、私が苦しい時ばっかり優しくて。
「やっと笑ったな。その方がお前らしいんじゃね?」
本当に、こんな時ばっかり優しくて。
「あ、お前ん家こっちだろ?俺こっちだから。じゃあな、気をつけて帰れよ。」
どうしようもなく、嬉しくて悲しくて。
「待って…!!」
「あ?」
だから、
「…あの…、今日、泊まりに行っちゃ駄目ですか…?」
「…は?」
少しだけ、甘えさせてください、なんて。
「駄目、だよね。うぅん、なんでもない。ゴメンね。」
「……いいよ、別に。」
そんな馬鹿なことを考えてしまうんだ。
そして、私の頬は涙で濡れてしまった。
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ハイ、スイマセン、この連載シリアスになるかもですねー。
私にギャグはかけない。(え)
次回か次々回にヒロインちゃんの過去のお話UPしたいと思ってます。